株式会社Koinobori
HANDS-ON / 執筆:杉﨑(代表取締役)

検索順位を1本調べただけで、448枚の「迷子ページ」が見つかりました — 中小企業 × AI 経営(2026年8月)

「作れば、そのうち見つけてもらえる」と思っていませんか。弊社のホームページを調べたら、そう思って作ったページの448枚が、一度も検索に出ていませんでした。1本の順位を確かめたつもりが、芋づる式に広がった話です。

新商品を店に並べたのに、なぜか注文が増えない。そんな経験はありませんか。

理由を調べると、商品そのものより「そこにあると伝わっていない」だけ、ということがよくあります。棚の奥、案内の一言もない場所――存在はしているのに、たどり着く道が無いのです。

弊社のホームページでも、まったく同じことが起きていました。しかも1か所ではなく、448か所で。

きっかけは、あるページの検索順位を確かめたことでした。その一群が検索結果にほとんど出てきません。周辺を洗うと、問題は1本どころではありませんでした。

たどる道が、1本も無かった

弊社は、干支の早見表や厄年の一覧、単位の換算表といった無料のツールサイトを運営しています。条件の組み合わせごとに、自動でページが作られる仕組みです。

こういう構造になっていました。

人が使う分には何の問題もありません。選べばちゃんと出ます。ところが検索エンジンから見ると、まとめページには個別ページへの道が1本も描かれていない状態でした。

該当したまとめページは11か所。ぶら下がっている個別ページの合計が448枚。最初に見ていた1本は、氷山の一角でした。

「作った」と「見つけてもらえる」は別のこと

これは弊社のホームページに限った話ではありません。似た場面は、身近にいくらでもあります。

よくある場面実際に起きていること
新商品を並べたが、案内を出していない気づく人は、たまたま棚を見た人だけ
資格を持つ社員がいるが、書いていない聞かれない限り、誰にも伝わらない
良い評判が来ているが、載せていない探しに来た人にも見つけてもらえない

**「作った」は、「見つけてもらえる」を保証しません。**弊社のホームページで起きていたのも、これとまったく同じ構造でした。存在はしている。でも、そこへ行く道が、どこにも用意されていなかったのです。

気づけなかった理由

正直に書くと、この状態は数か月続いていました。なぜ気づかなかったのか。

ページ自体は、開けば普通に表示されるからです。

エラーは出ません。手元で確認すれば「ちゃんとできている」ように見えます。検索エンジンから見た姿と、自分の目で見た姿は別物なのに、私は自分の目で見える方だけを確認していました。

これは弊社が何度も踏んでいる型です。以前のコラムにも書きましたが、エラーが出ない不具合は、探しに行かない限り見つかりません。

もう一つの嘘:毎日「更新しました」と言っていた

同じ調査の中で、もうひとつ見つかりました。

検索エンジンには、「このページは最近直しました」と伝える仕組みがあります。再訪の手がかりになる情報です。ところが弊社のサイトは、全ページに「今日更新しました」と、毎日申告していました。

原因は設定の一行でした。更新日として、本当の更新日ではなく「作り直した瞬間の時刻」を入れる書き方になっていたのです。このサイトは毎朝作り直しているので、中身が1文字も変わっていないページまで、毎日「今日更新」と言い続けていたことになります。

検索エンジンは、この手の情報を「常に正確な場合にだけ」信用すると明言しています。全ページが毎日「今日」では、正確なはずがありません。**信号そのものが無視される。**実際、6日間まったく見に来てもらえない期間がありました。毎日「更新した」と言い続けていたのに、です。

直し方は、足すのではなく引くことでした。全ページ一律の更新日を削除しました。嘘の日付を出し続けるより、出さない方が正確だからです。

数字で見た現在地

修正にあたって、出発点を記録しました。

枚数・割合
生成しているページの総数1,649 枚
検索結果に一度でも出たページ624 枚(38%)
一度も表示されていないページ1,025 枚
どこからもリンクされていなかったページ448 枚

**作ったページの6割は、検索の世界では存在していないのと同じでした。**痛い数字ですが、同時に希望のある数字でもあります。新しく何かを作らなくても、既にあるものが届いていないだけだからです。

直すときに決めた「やらないこと」

448枚分の道をつなぐ作業は、複数のAIを同時に動かして進めました。このとき、やってはいけないことを先に決めて渡しています。

数値を書き写さないという約束がとくに大事でした。書き写すのは一番簡単ですが、一番腐りやすいやり方でもあります。今日は正しくても、計算の元が変われば嘘になります。

すべてのまとめページを一律に直したわけでもありません。別の約束ごとが決まっている場所は触らず、この2件は「残件」として記録に残しています。

毎朝、自分を疑う仕組みを作った

今回わかったのは、データを見れば気づけたことに、私が気づいていなかっただけということでした。そこで、毎朝これを機械に確認させる仕組みを作りました。見るのは4点です。

  1. まとめページから個別ページへの道が0本になっていないか
  2. たくさん見られているのにクリックされていないページはないか
  3. 検索されている言葉が、そのページのタイトルに入っていないケースはないか
  4. 個別ページの代わりに、まとめページばかりが出ていないか

3つ目は面白い実例がありました。ある単位換算のページに「一厘は何キロ」という検索が多く届いていたのに、そのページは「里」の換算ページでした。探している人と、たどり着いたページがずれていたのです。

この仕組みに、**自動で直す機能は付けませんでした。**道をどこに足すか、どの表現を残すかは文脈を読む判断ばかりだからです。弊社には、AIに文章を自動で作らせて事実と異なる記事を65本量産した前科もあります。**見つけるのは機械、直すのは人。**この分担にしました。

明日できる確認

自社のホームページを持っているなら、規模に関係なく確かめられることがあります。

「作ったものに、クリックだけでたどり着けるか」――これだけです。トップページから、あるいは一覧から、リンクをたどっていって着けるか。着けないなら、それは無いのと同じです。

弊社の場合、この確認をしていなかったために448枚が眠っていました。新しいページを作る予算より、既にあるものを見つけてもらう手当ての方が、はるかに安く効きます。効果が出たかどうかは、28日後に同じ数字を取り直して比べる予定です。直したこと自体を、成果とは呼びません。

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