この記事のポイント
- 約70日分の記録を読むと、検索の88%が社名を知る人の指名検索だった
- 問い合わせが0件だったのは、管理画面の設定を入れ忘れたため
- 入れたまま読んでいない解析を、一度全期間で眺める
Q. アクセス解析を入れたのに数字が出ないのはなぜ?
A. プログラム側の実装と、管理画面側の設定は別の作業だからです。弊社では問い合わせの完了数が2か月間0件でしたが、管理画面のスイッチを入れていなかっただけでした。この種の設定は遡って集計されないのが普通なので、早めの確認をお勧めします。
自分の会社のホームページは、誰のために作っているか。答えられる経営者は多いと思います。ただ、その答えが本当に合っているかを、数字で確かめたことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか。
このコーポレートサイトに来訪者の記録を取り始めたのは2か月ほど前です。ところが取り始めたことに満足して、まともに読んでいませんでした。
今回、約70日分のデータを腰を据えて読みました。結果、自分が思っていたことが4つ壊れました。そのうち1つは、そもそも「測れていなかった」という、笑えない話でした。数字を出しながら書きます。社員数名の会社のリアルな規模感として、参考になれば幸いです。
70日分の記録から見えたこと
まず全体の数字です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| セッション数 | 1,735 |
| アクティブユーザー | 1,103 |
| ページ表示回数 | 3,913 |
| しっかり読まれた割合 | 58.2% |
| 平均滞在時間 | 43秒 |
大企業から見れば小さな数字です。ただ、社員数名のBtoB企業のコーポレートサイトとしては、こんなものだと思います。大事なのは規模ではなく、この中身に何が写っているかでした。
4つのうち3つは、「たぶんこうだろう」が数字で崩れた
| 思っていたこと | 実際に数字が示していたこと |
|---|---|
| 検索で来る人は、いろんな人が探しに来ている | 検索の**88%**が、すでに社名を知っている人の指名検索だった |
| AI経由の訪問は、誤差みたいなもの | 数としては全体の1%でも、滞在時間は全経路で最長 |
| このサイトは営業のために作っている | 採用ページが、トップに次いで読み込まれていた |
一つずつ見ていきます。
社名での検索順位は1位、クリック率は56.1%。指名検索の受け皿としては完成しています。問題は裏側です。社名を知らない人が入ってくる入口が、ほぼありません。サイト全体の平均掲載順位は15.8位、検索結果の2ページ目です。つまりこのサイトは、新規のお客様を連れてくる装置としては、まだ機能していませんでした。
さらに面白い発見もありました。「koinobori」という単語だけの検索は196回ありましたが、クリック率はわずか6.12%。社名フル検索の56.1%と比べて桁違いに低い数字です。理由は明白で、端午の節句の「鯉のぼり」の実物を探している人が大量に混ざっているからです。当社を探している人ではないので、クリックされないのは当然でした。対策のしようがない、社名に由来する構造的なハンデだと分かっただけでも収穫でした。
AI経由の訪問は、数としては18セッション、全体のわずか1%です。ところが滞在時間は1分19秒と、検索経由の59秒より30秒以上長く、全経路で最長でした。AIに相談して「こういう会社があります」と提示されて来る人は、すでに課題を言語化できている人です。冷やかしでは来ません。まだ18件なので断定はできませんが、AIに見つけてもらえる書き方をする意味はありそうだと、数字で少し確信が持てました。
採用ページの表示回数はトップに次ぐ多さで、平均滞在は1分30秒。トップページの36秒より、はるかに長く読まれています。私はこのサイトを「営業のためのもの」だと思って作っていました。実際には、働き先として当社を検討している人が、かなり真剣に読んでいたのです。トップは流し読みされ、奥のページで熟読される。トップに情報を詰め込むより、奥のページへ確実に送り込むほうが効くとわかりました。
4つ目は、「動いているのに、数字が出ない」という落とし穴
ここからは、直した話です。一番恥ずかしい発見からいきます。このサイトで最も大事な数字、問い合わせの完了数が、ずっと0件でした。
コードを調べると、記録する仕組みは既に書いてありました。自分で残したコメントに、こうありました。
※ 管理画面側で「重要な成果」として設定すれば、実数が計測されます
コードは完成していて、管理画面のスイッチを入れていなかっただけ。データ自体は裏で集まっていたのに、見る場所を開いていませんでした。ここから得た教訓です。
プログラム側の実装と、サービス管理画面側の設定は、別の作業である。
片方だけ済ませて放置すると、「動いているのに数字が出ない」状態が延々と続きます。しかも誰も困らないので気づきません。私は2か月、気づきませんでした。しかもこの手の設定は、たいてい遡って集計されないのが普通です。失った2か月分のデータは、二度と手に入りません。
直したのは、地味なことばかり
検索の数字を見ていて、不思議な差も見つけました。「ローカルLLM 費用」で12.0位のページが、ほぼ同じ意味の「ローカルLLM 料金」では21.2位。本文には費用の説明が十分に書いてあるのに、見出しにはサービス名が入っておらず、「料金」という言葉自体がページ内にほぼ存在しませんでした。文章を足すのではなく、見出しを直しただけで対処できるはずの話です。
トップページの本文には採用への案内がなかったので、新しく入口を作りました。実績の数字はあえて載せず、入口は入口に徹して、数字は採用ページ本体に任せています。最後に、毎日サイトを触っている自分自身のアクセスも、集計から外しました。海外からの一部アクセスも中身を見ると滞在0秒の自動巡回でした。仕組み側で自動的に除外することはできない仕様だったので、「日本国内だけを表示する」条件を保存しておき、読むときに絞る運用にしています。
派手な施策は何もしていません。設定を1つ有効にして、見出しを直して、リンクを1本足して、自分のアクセスを除いただけです。
それでも、解像度は明らかに上がった
自分が作ったものは、作った意図で見てしまいます。 私は「営業目的のサイト」だと思っていましたが、実際には採用でよく読まれていました。「AI経由なんて誤差だろう」と思っていましたが、実際にはいちばん熱心な読者でした。数字は、その色眼鏡を外してくれます。しかもそれを知るのに、数時間しかかかっていません。費用対効果は明らかに高いのに、「入れたけど読んでいない」状態が一番もったいないと感じました。
問い合わせ数を2か月測れていなかったのも、地味に痛い話でした。どの経路から来た人が問い合わせにつながるのか、いまだに分からないままだったからです。これから1〜2か月かけて、ようやくそれが見えてきます。特に、AI経由の人が本当に問い合わせまで至るのかは、いま個人的に一番知りたい数字です。測れていないものは、無いのと同じなのだと、今回あらためて思い知りました。
アクセス解析を入れたまま読んでいない方がいたら、一度だけ腰を据えて全期間を眺めてみることをお勧めします。思い込みが1つでも壊れれば、それだけで元は取れます。
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