株式会社Koinobori
HANDS-ON / 執筆:杉﨑(代表取締役)

同じ内容を2つのサイトで持たない——消すときに何を残すか — 中小企業 × AI 経営(2026年7月)

助成金計算ツールと研修講座2件の重複に気づき、片方を廃止して一本化しました。消す判断より難しかったのは、旧URLの転送と内部リンクの誘導先を決めることでした。

はじめに:この記事の前提

Koinobori 代表取締役の杉﨑です。 社員数名の会社を経営しながら、このコーポレートサイトも自分の手で作り、AI を相棒に毎日更新しています。

自社では、コーポレートサイトのほかに、研修事業のブランドサイトや、社外にも公開している自社ツール集など、複数のサイトを並行運用しています。サイトが増えると起きるのが、**「同じような機能や内容を、気づけば2つのサイトで別々に持っている」**という重複です。今回は、見つかった重複を2件、実際にどう畳んだかの記録です。消す判断そのものより、消すときに何を残すかのほうが難しい、という話をします。

1. 課題:気づけば同じ機能・同じ内容を2つのドメインで持っていた

1-1. 助成金シミュレーターの重複

コーポレートサイト側に、人材開発支援助成金の実質負担額を計算するツールがありました。ところが自社のツール集サイトのほうにも、ほぼ同一の機能を持つ計算ツールが既にありました。同じ計算を2つのドメインでそれぞれ保守する状態になっていたわけです。

1-2. 研修講座2件の重複

コーポレートサイトには、以前からネットワーク資格(Cisco CCNA)対策講座と、業務システム(SAP)研修という、2つの講座ページがありました。同じ内容の講座紹介が、研修事業専用のブランドサイト側にも既に存在していました。コーポレートサイトは会社全体の窓口、ブランドサイトは研修そのものの専門窓口という役割分担にしていたはずが、この2講座だけは両方に案内が残っていた形です。

2. 取り組み:消す前に「何を残すか」を決める

2-1. なぜ「消す」だけでは足りないのか

重複に気づいたとき、一番簡単なのは片方をそのまま削除することです。ただ、それだけをやると検索エンジンに評価されてきたページの実績がまるごと失われます。 何年も前から存在し、検索結果に表示され続けてきたページを、ただ消して見つからない状態にしてしまうのは、積み上げてきたものを捨てるのと同じです。

だからこそ「消す」作業には、必ずもう1つの作業をセットにしました。**旧URLにアクセスが来たら、新しい行き先へ自動で案内する仕組み(転送)**です。

2-2. 助成金シミュレーターの集約

代表判断で、コーポレートサイト側の計算機能を廃止し、自社ツール集のほうへ一本化しました。やったことは3つです。

  1. コーポレートサイト側の計算機能そのものを削除
  2. サイト内の該当ページへ向かう内部リンク4箇所(研修ページ・関連する講座ページ・料金案内カード・フッター)を、すべて「自社ツールで概算できます」という自然な誘導文に差し替え
  3. 旧URLに、自社ツール集の該当ページへの**転送(301)**を設定

301という転送方式を選んだのは、単に「別ページへ飛ばす」のではなく、「このページは恒久的に引っ越しました」と検索エンジンに伝えるためです。これにより、旧ページが積み上げてきた評価が、新しい行き先にも引き継がれます。本番環境で実際に旧URLへアクセスし、転送が正しく働いていることも確認しました。

2-3. CCNA・SAP講座2件の移管

CCNA対策講座とSAP研修の2ページは、ページごとコーポレートサイトから削除し、ブランドサイト側へ一本化しました。助成金の時よりも踏み込んだ対応です。

転送が実際に機能しているかは、旧URLへアクセスした先が、途中で止まらずブランドサイト側のページ(正常表示)にたどり着くかで確認しました。転送が何段にも重なっていると、検索エンジンにもユーザーにも評価が薄まります。1ホップで着地することを確認できたのは、地味ですが大事なチェックでした。

2-4. 過去の事実だけは、消さずに残す

一つだけ、削除の対象から外したものがあります。会社の沿革(あるサービスを何年何月に世に出した、という記録)です。これは今のサービスではなく、過去にあった事実なので、機能の重複とは別物として扱いました。過去の実績を消してしまうと、それは重複解消ではなく、自社の歴史の改ざんになってしまいます。

3. 結果:数字で見る集約

項目助成金シミュレーターCCNA・SAP講座2件
対応機能削除+自社ツールへ誘導ページごと削除+移管
内部リンクの差し替え4箇所案内・関連導線・FAQ・料金・問い合わせ選択肢など多数
転送(301)1本2本
転送先の確認本番で転送を確認1ホップで転送先が正常表示されることを確認
サイトのページ数変化なし(機能のみ削除)95ページ→93ページ

いずれも、削除しただけの箇所はゼロです。すべての旧URLに転送先があり、すべての内部リンクに差し替え先があります。

4. 学び:重複は「二重の損」

同じ機能・同じ内容を2つのサイトで持つことには、気づきにくい損が2つあります。

  1. 二重管理のコスト — 片方を直したら、もう片方も直さないと情報がズレる。気づかないままズレたコンテンツが放置されると、どちらが正しいのか分からなくなります。
  2. 検索エンジンからの評価分散 — 同じテーマのページが2つあると、本来1つに集まるはずだった評価が、2つのページに分かれてしまいます。結果、どちらも中途半端な順位に留まりやすくなります。

「消す」という判断そのものは、実はそれほど難しくありません。同じものが2つあると分かれば、答えは自然と決まります。本当に難しいのは、消すときに何を残すかを決めることでした。旧URLの転送先、内部リンクの誘導先、そして過去の事実として残すべきものと機能として畳んでよいものの線引き。ここを丁寧にやるかどうかで、「集約」になるか「単なる喪失」になるかが分かれます。

おわりに

複数のサイトを運営していると、重複は放っておいてもどこかで発生します。悪いことではなく、事業が育っている証拠でもあります。大事なのは、見つけた時にどう畳むかです。

消すことを怖がって重複を放置すると、二重管理のコストと評価の分散を、両方とも払い続けることになります。逆に、転送と誘導さえきちんと仕込めば、積み上げてきた資産を失わずに、身軽になれます。 同じような重複に心当たりがある方は、消す前に「旧URLの転送先」と「内部リンクの差し替え先」の2つを先に決めてから手を付けることをお勧めします。

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