あと少しで、予約投稿が二度と公開されなくなるところでした — 中小企業 × AI 経営(2026年7月)
ある仕組みを止める直前、AIが残した一行のメモに救われました。「毎日動いているだけ」に見えた処理が、実は予約投稿を公開する役目を黙って担っていたのです。4サイトの公開経路を作り直した、その顛末です。
長年使っている機械や仕組みを、そろそろ整理しようと思ったことはありませんか。
「これ、何のために動いているんだっけ」と誰も正確には説明できないまま、なんとなく残っている設備。触らないほうが安全な気がして、そのままにしていることも多いと思います。
弊社にも、まさにそういう仕組みがありました。整理しようとして、危うく事故になるところでした。
もう一つのサイトで、同じ失敗が起きた
少し前、このコラムで自動公開が止まった日、自分のPCから公開した話を書きました。あのときは一回限りの応急処置でした。
今回はその続きです。別のサイトで、同じ種類の失敗が1日に2回起きました。原稿の準備と事前確認はどちらも成功しているのに、最後の「本番へ送り届ける」一歩手前だけが失敗する。海外で動く自動化の仕組みから、契約しているサーバーへの接続が断続的に切れていました。4回やり直しても、4回とも通りません。
1回だけなら「運が悪かった」で済んだかもしれません。ですが思い出すと、6月に経験したもう一つのサイトの障害も、まったく同じ経路で起きていました。**2つの独立したサイトで、同じ経路が、同じように壊れる。**個別の障害ではなく、エコシステム全体が抱える構造的な弱点だと考え直しました。
「その場しのぎ」と「仕組みの問題」は別のこと
同じ出来事が2回目に起きたとき、多くの場面で似た問いが立ちます。もう一度直すか、仕組みごと見直すかです。
| よくある場面 | その場しのぎ | 仕組みの問題として見る |
|---|---|---|
| 同じ機械が2拠点で同じ壊れ方をする | その都度、修理して終わる | 型そのものに欠陥があると疑う |
| 同じミスを別の担当者もしてしまう | 「気をつけて」で終わる | 手順自体を見直す |
| 同じクレームが別の店舗からも届く | 個別に謝罪して終わる | 商品や仕組みの共通原因を疑う |
1回は偶然でも、2回は構造です。弊社が踏んだのも、まさにこの分かれ道でした。
経路を変えて、4サイトを1つの手順にまとめた
4回のリトライが全滅した時点で判断しました。「もっと粘り強く」ではなく「別の道を使う」。
6月の一件で分かっていたのは、海外の自動化からは詰まりやすいが、国内の手元のパソコンからなら安定して繋がるという事実です。1サイトの応急処置だった手法を、4サイト全部の標準手順に格上げしました。
自社で運営している4つのサイトの公開手順を、1つの共通の手順にまとめました。海外の自動化は完全になくさず、**役割を変えています。**原稿の準備と事前確認までは今まで通り自動、その先の「本番に反映する」作業だけを手元のパソコンからの作業に切り替えました。品質のチェックは自動、届ける作業は手動という分業です。
手動に戻す代わりに、5つの歯止めを作った
ここで気をつけたのは、「自動をやめる=丁寧さも手放す」にしないことでした。公開作業そのものに、次の5つの歯止めを組み込みました。
- 作業中のファイルが残っていれば、公開しない
- 前回から中身が変わっていなければ、何もしない
- 原稿の準備に失敗していたら、絶対に本番へ送らない
- 送ろうとしている中身が空っぽなら、そこで止める(本番を丸ごと消す事故の防止)
- 消える予定のファイルが一定数を超えたら、実行せず一覧を見せて止める
とくに4と5は、6月の同期の仕組み(元に無いものは向こうからも消える)に対する保険です。急いでいる時ほど外してはいけない、というのが6月の教訓でした。
外す直前に見つかった「隠れた仕事」
海外の自動化を役割変更するにあたり、4サイトのうち1サイトには「毎朝決まった時刻に自動で動く」設定がありました。てっきり、外しても問題のない設定だと思っていました。
作業を任せていたAIエージェントの引き継ぎメモに、一文がありました。「機能面で見落とされやすい点なので、特にご確認ください」
読んで、はっとしました。そのサイトには、日付が変わった瞬間に公開される予約投稿があります。その「予約分を本番に反映する」役目を、まさにこの毎朝の定期実行が黙って担っていたのです。
もしそのまま外していたら、予約していた記事は指定日になっても永遠に公開されません。エラーも出ません。誰かが気づくまで、誰にも分からない障害になっていたはずです。
安全弁2(変更なしはスキップ)とも衝突していました。原稿に変更が無くても、日付が変わっただけで公開対象が増えるサイトがあるからです。そこで「日付に依存するサイト」という区分を1つ足しました。該当する1サイトだけは変更が無くても毎回組み立て直して送り、他の3サイトは従来どおりのルールのままにしました。
学びと、次にやること
**トラブルは「どの段階で止まったか」を見る。**準備と事前確認が通っていて、最後の一歩前だけが落ちるなら、疑うべきはコードではなく経路や権限です。
仕組みを外す時は、その仕組みが黙って担っていた仕事を探す。「ただの定期実行」に見えたものが、実は別の役目を持っていました。名目と実体がズレている仕組みは、思っている以上によくあります。
**AIエージェントの引き継ぎメモは、必ず読む。**今回の落とし穴は、AIが書き残してくれた一文で気づけました。忙しい時ほど流し読みしがちですが、任せきりにせず、報告には目を通すことが大切です。
数日のうちに、この手順を毎朝自動で起動する設定も整いました。海外の自動化は品質保証に専念し、本番へ届けるのは安定した経路から、しかも毎朝決まって動く――応急処置が、標準の運用に育った形です。
もし社内に「毎日動いているけれど、何のために動いているか誰も正確には説明できない仕組み」があれば、止める前に一度、立ち止まって確認してみることをお勧めします。名目と実体がズレている仕組みほど、外した後に静かに困ることになります。
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