この記事のポイント
- 使っていない画像37枚を消したら、顧問の顔写真2枚が表示されなくなった
- 軽い版の名前が表示の瞬間に作られ、設計図の検索に出なかった
- 消す前に、台帳ではなく出来上がった完成品で使われていないか確かめる
Q. 使っていないファイルを整理するとき、何を確かめるべき?
A. 名前で検索するだけでなく、実際に出来上がったものを見て使われていないことを確かめてください。弊社では設計図に名前が無い画像37枚を消し、うち2枚が実際には表示に使われていました。消す側が、使われていないことの証明責任を負うと決めています。
倉庫の棚卸しで「1年間動いていない在庫」を処分することがあります。台帳を見て、動きが無いものを捨てる。合理的な作業です。
でも台帳に載っていない使い道があったら、どうなるでしょうか。
先日それをやりました。サイトから使っていない画像37枚を整理し、そのうち2枚が顧問の顔写真でした。数日後、会社概要のページを開いて青ざめました。お二人の紹介カードから、顔写真だけが消えていたのです。
「使われていない」は、どうやって判定したか
サイトを長く運用していると、差し替え前の写真や過去のキャンペーン画像が溜まります。そのままにしておくと保管も表示も重くなるので、定期的に片付けます。
判定のやり方は単純でした。画像のファイル名を、サイトの設計図の中で検索する。どこにも出てこなければ「使われていない」と見なす。名前で呼ばれていないものは、誰も呼び出せないはずだ、という理屈です。
37枚が該当し、削除しました。作業直後にトップページと主要な導線は目で確認し、崩れが無いことも見ています。それでも2枚が抜けていました。
「台帳に無い=使っていない」は、どこでも危ない
この失敗、うちのサイトの話に見えて、実はよくある形だと思います。
| よくある場面 | 抜け落ちるもの |
|---|---|
| 「発注履歴に無いから、この部品はもう使っていない」 | 別の型番で在庫を回していた |
| 「システムのログイン履歴が無いから、この人はもう使っていない」 | 別の担当者のIDで代理入力していた |
| 「請求実績が無いから、この取引先とは終わっている」 | 年1回だけ、決まった時期に動く取引だった |
どれも台帳の書き方と、現場の使い方がずれているという話です。私が今回やったのは、まさにこれでした。台帳(設計図の文字列)を検索して、そこに無いから捨てた。でも現場(実際の表示)では使われていました。
なぜ機械の判定が外れたのか
原因探しで最初にやったのは、「誰の作業が悪かったか」ではなく「なぜ判定が外れたのか」の切り分けでした。
消えた2枚には共通点がありました。どちらのファイル名も、設計図のどこにも書かれていなかったのです。
会社概要のページには、表示を軽くする工夫が入っていました。もとの写真と、軽い形式に変換した写真の両方を用意し、対応しているブラウザには軽いほうを渡す仕組みです。
問題は、その軽いほうのファイル名の作り方でした。もとのファイル名の拡張子だけを、表示する瞬間に差し替えていたのです。つまり軽い版のファイル名は、設計図のどこにも文字として存在しません。画面を組み立てる瞬間に、初めて生まれる名前でした。
文字列の検索は、書いてある文字を探す作業です。配達の瞬間にしか存在しない宛名は、控えを何度見ても出てきません。
この仕組み自体は悪いものではありません。表示は確かに軽くなります。ただ「名前で呼ばれているか」だけで使用の有無を判定する方法とは、相性が最悪でした。
目視で見つからなかった理由
もうひとつ厄介だったのは、壊れ方が普通の確認では見つけにくい種類だったことです。
| 確認のしかた | どう見えるか |
|---|---|
| 画像ファイルそのものを開く | 正常(もとの写真は残っている) |
| 今のブラウザでページを見る | 顔写真が出ない(壊れている) |
| 古い方法・保存済みの画面で見る | 正常(軽い版を要求しないため) |
いま出回っているブラウザのほとんどは軽い形式に対応しています。つまり訪問者のほとんどには壊れて見えていて、確認の仕方によっては正常に見えるという状態でした。
しかも会社概要は、毎日は見ないページです。アクセスの多いページなら誰かがすぐ気づきますが、訪問頻度の低いページほど、壊れたまま静かに時間が過ぎます。私が気づくまでに数日かかったのは、そういう理由でした。
直したあとにやったこと
2枚を復元して表示は元に戻りました。ただ、そこで終わりにはしませんでした。
同じ「その場で名前を組み立てる」書き方が、他にもないかをサイト全体で洗い直しました。結果、該当したのは最初の1箇所だけでした。念のため、実際に出来上がったページの中身も調べて、他に壊れている箇所が無いことを確かめています。
1箇所直して終わりにすると、同じ穴が別の場所で開いたままになります。原因が分かったときが、同じ型を全部探す唯一のタイミングです。
消す側が、証明責任を負う
この一件で決めたルールがあります。
「使われていない」の証明責任は、消す側にある。
「名前で呼ばれていないから使われていない」は、証明ではなく推定でした。本当に使われていないと言うためには、実際に出来上がったものを見て、そこに出てこないことを確かめる必要があります。設計図ではなく、完成品を見る。
片付けは、作るより怖い作業です。作ったものが間違っていればエラーが出ますが、消したものが必要だった場合、何も言わずに消えるだけです。倉庫から捨てた部品は、次に必要になる日まで気づけません。
もし社内で「使っていないものを整理しよう」という話が出たら、判断の材料が台帳なのか、現物なのかを一度確かめてみてください。台帳だけで捨てると、うちの顧問の顔写真と同じことが起きます。
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