AIを8体、同時に働かせたら、1週間かかるはずの作業が1日で終わりました — 中小企業 × AI 経営(2026年6月)
忙しい時期、1人のベテランにもっと頑張ってもらっていませんか。弊社では40ページ超のツールに同じ機能を入れる作業を、複数のAIを同時に走らせるやり方に変えました。1週間かかる想定の作業が、1日で終わった話です。
繁忙期、1人のベテラン社員にもっと頑張ってもらう——そういう乗り切り方をしていませんか。
短期的にはしのげます。ただし人は疲れますし、1人でできる量には天井があります。量を増やしたいなら、本当は「もっと頑張る」ではなく「同時に進める」ほうが効くことが多いのです。
弊社では最近、この考え方をAIで試しました。
40ページに同じ機能を入れたいが、時間が無い
私たちはtotonoeというWebツール集を自社で公開しています。あるとき、「難しい概念を動いて分かる図解アニメで説明したい」と思い立ちました。
ところが対象は40ページ超。1ページずつ手作りすると、1ページ1時間でも丸1週間かかります。経営の合間に手を動かしている身には、現実的ではありません。「やりたいけど、時間がない」——中小企業で新しい取り組みが止まる、いつものパターンです。
「1人でやる」と「並べてやる」は別のこと
これは弊社に限った話ではありません。
| よくある場面 | 起きること |
|---|---|
| 忙しい時期、1人のベテランをさらに頑張らせる | 疲弊するだけで、量はいずれ頭打ちになる |
| 同じ手順を複数人に分けて同時にやってもらう | 人数の分だけ早く終わる |
| 手順がバラバラなまま、とりあえず人を増やす | 品質がばらつき、あとで手直しが増える |
量を増やす方法は、「1人が頑張る」だけではありません。同時に進められる形にしてから、人数を増やすという道があります。ただしその前提として、手順を揃えておくことが要ります。弊社が最初にやったのも、まさにそこでした。
共通部品にして、あとは「設定を書くだけ」にした
最初にやったのは、図解の仕組みを1つの共通部品にまとめることでした。各ページは「登場人物・持ち物・手順」を設定として書くだけで図解が動く——そういう形に整えたのです。
これが並列化の前提になりました。各ページの作業が「ゼロから作る」ではなく「設定を埋める」に変わったので、作業が独立し、同時に進められるようになったのです。
AIを8体、同時に走らせた
各ページの設定は互いに独立しています。だったら、順番に1つずつではなく、同時に作れるはずです。
そこで複数のAIエージェントを並行で起動し、それぞれに別々のページを担当させました。1体が終わるのを待って次へ、ではなく、8体が同時に別のページの設定を起案していく。波状に何度か繰り返し、40ページ超を一気に進めました。人間(私)は、出てきた成果をまとめてビルドし、動かして確認し、全体に統合する役に回りました。AIが手を広げ、人間が束ねるという分担です。
正直に言うと、この進め方は数年前なら成立しませんでした。今回使ったのは**2026年6月時点で最新のClaude(Fable 5と呼ばれる世代)**です。経営者として素直に驚いたのは次の点でした。
- 並行で動かしても破綻しない:8体を同時に走らせても、互いの衝突を避けながら全体を一貫してまとめ上げる
- 細かい品質ルールを守り抜く:「各手順はその瞬間の全体像を毎回きちんと書く」といった約束事を、40ページ分ぶれずに守る
- 各ページの意図を自分で汲む:「このツールはこういう概念だから、こう図解すべき」を一つひとつ自分で設計してくる
人間の新人8人を同時に教育しながら、一定品質で40ページを1日で——と考えれば、まず不可能です。それをやり切れたのは、道具がここまで来たからでした。
手作業と何が違ったか
| 観点 | 手作業(1ページずつ) | 共通部品 × 並行エージェント |
|---|---|---|
| 所要時間 | 数日〜1週間 | 1日 |
| 品質のばらつき | 作る日・集中力で変わる | ルールを最初に指示して均一化 |
| 自分の役割 | 全部を自分でやる | 設計と検証に集中できる |
同じ「40ページ作る」でも、作り方を変えただけで桁が変わりました。
並列が起こした「衝突」
きれいに進んだわけではありません。同時に走らせたら、**複数のエージェントが同じ共通ファイルを一斉に書き換えようとして、ぶつかりかけました。**全員が同じ机の上の1枚の紙を同時に書こうとするような状態です。
対策はシンプルでした。共通の部分は私が一手に統合し、各エージェントには**「自分の担当ページだけ触る」と役割を限定し、品質ルールは最初の指示に明記して出力のばらつきを抑えました。並列化の本当の難所は、AIの賢さではなく「ぶつからないように仕事を割る設計」**でした。人間のチームマネジメントと、まったく同じです。
AIは「増やせる労働力」——ただし設計と検証は人間に残る
この経験で、AIの捉え方が変わりました。**AIエージェントは「1人の優秀な助手」ではなく、「指示すれば並列に増える労働力」**である。人を採用せずに、仕事の規模だけを一時的に何倍にもできます。人材の採用・育成に時間とコストがかかる中小企業にとって、大きな意味を持ちます。
ただし、何を作るかの設計と、出てきたものの検証・統合は、最後まで人間の仕事として残りました。むしろ並列化が進むほど、ここに経営者の付加価値が集中します。AIに「数」を任せられるからこそ、人間は「何を・どう作るか」に集中できるのです。
あなたの会社の「同じことの繰り返し作業」、まだ1人で順番にこなしていませんか。それは、並べれば一気に終わる仕事かもしれません。「うちの業務でも、AIを相棒に小さく試したい」という方には、設計から運用まで伴走しています。AI導入サポートサービス、お問い合わせフォームからどうぞ。
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