この記事のポイント
- 毎週月曜に届くAI要約を作ったが、1か月過ぎから本文を開かなくなった
- 読む前から中身が予測でき、判断に使えないと分かり、止めた
- 先月自分が実際に開いた定期物がいくつあるか、数えてみる
Q. AIの自動レポートを作っても読まなくなるのはなぜ?
A. 読む前から中身が予測できてしまい、判断に使えないからです。弊社では毎週月曜に先週の動きをまとめる仕組みを作りましたが、1か月を過ぎると通知しか見なくなり、止めました。作る前に、3か月で読む回数が月1回を切ったらやめる、といった止める基準を決めておくと防げます。
定期購読している業界紙、最後に開いたのはいつでしょうか。
契約したときは「情報収集に必要だ」と思っていたはずです。それがいつのまにか、封も切らずに積まれている。解約しないのは、無いと不安だから。
私はそれを、自分で作った仕組みでやりました。
「毎週まとめが届く」を作った
会社の数字は毎日動きます。売上、案件の進み具合、タスクの滞り。忙しいと、それを見る時間が取れません。
そこで作りました。毎週月曜の朝、先週の動きをAIがまとめて、チャットに届けてくれる仕組みです。売上の動向、案件の進捗、主な指標のまとめ、経営者向けのひとこと。前の週との差も強調してくれます。
作っている最中はワクワクしていました。「経営者が毎週まとめを受け取れる仕組み」——響きは良いです。
そして実際、最初の数週間はちゃんと読んでいました。
だんだん開かなくなった
正直に書きます。
| 時期 | 読み方 |
|---|---|
| 最初の数週間 | 毎回読んでいた。新鮮だった |
| 1か月目 | ざっと目を通すだけ |
| 1か月過ぎ | 通知だけ見て、本文は開かない |
| その後 | 存在を忘れる |
しかも、読んだときでさえその内容で何かを判断したことは一度もありませんでした。
理由は単純です。読む前から中身が予測できるから。毎週同じ形式、同じ指標、同じ言い回し。差は強調されますが、その差はだいたい自分が既に知っていることでした。
要約というのは、自分で見るのが大変なものを短くするから価値があります。私が受け取っていたのは、もともと自分が把握している内容の要約でした。
「使わないけど、あると安心」
止める決め手は、自分の独り言でした。
最近見てないな。でもまあ、あれば安心だから動かしておくか。
この瞬間、これは良くないなと思いました。読まないものを動かし続けるのは、サーバー代と電気代と、「動いている」という誤った安心感を買っているだけです。
同じ構造は、AIに限らずあちこちにあると思います。
| よくある例 | 実際は |
|---|---|
| 毎月届く分厚い分析レポート | 表紙だけ見て棚へ |
| 全社に送られる週報メール | 開封率を誰も測っていない |
| 5年前から続く定例会議 | 議題が「特になし」でも開かれる |
どれも、止める理由が無いから続いているだけです。始める判断は誰かがしましたが、止める判断は誰もしていません。
残した仕組みと、止めた仕組みの違い
止めるか迷ったとき、社内で動いている他のAIの仕組みと比べてみました。すると、はっきりした差がありました。
| 残した仕組み(人が話しかけて使う) | 止めた仕組み(時間が来たら勝手に動く) | |
|---|---|---|
| きっかけ | 人が話しかける | 時刻が来る |
| 目的 | 質問に答える・作業を代わる | 状況をまとめて伝える |
| 壊れたとき | 「答えない」とすぐ分かる | 誰も気づかない |
| 改善 | 使われる→要望が来る | 読まれない→要望も来ない |
決定的なのは下の2行です。時間で勝手に動く仕組みは、壊れていても誰も困りません。だから改善の要望も来ない。来ないから、良くならない。良くならないから、ますます読まれない。
止めました。
何を間違えたのか
振り返ると、私は作ること自体が目的になっていました。踏んだ失敗は3つです。
- 「あったらいいな」で作った — 「これが無くて困っている」という痛みが出発点ではなかった
- 読まれているかを測らなかった — 自分が開いた回数すら、一度も振り返らなかった
- 止める基準を先に決めなかった — 「3か月で読む回数が月1回を切ったらやめる」のような線を引いていなかった
3番目がいちばん大事だと思っています。新しい仕組みを入れるとき、始める基準は誰でも考えますが、止める基準を先に決める人はほとんどいません。だから、効いていないものが静かに残り続けます。
いまは社内のルールを1つ足しました。時間で勝手に動いて人に何かを届ける仕組みには、必ず「止める基準」を先に決める。決めていないものは作らない。
明日できること
社内で自動的に届いている定期物——レポート、メール、会議の資料——を思い浮かべてみてください。
そのうち先月あなたが実際に開いたものは、いくつでしょうか。
開いていないものがあれば、それは止め時かもしれません。止めても誰も困らなければ、それは最初から必要なかったということです。私の場合、止めて1週間経っても、誰からも「あれどうなった」とは聞かれませんでした。
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