お問い合わせ
  1. トップ
  2. コラム
  3. Trello も Asana も続かなかった私が、1日で作った雑な仕組みだけ3週間続いた

Trello も Asana も続かなかった私が、1日で作った雑な仕組みだけ3週間続いた

外部のタスク管理ツールは3か月で誰も触らなくなりました。雑な初版を1日で出し、毎日1か所ずつ直したら、3週間で社内に馴染みました。社員5人の会社で決めたのは3つだけです。

この記事のポイント

  1. 雑な初版を1日で出し、3週間で自動処理7つのうち2つを止めた
  2. 毎日1か所だけ直し、直せない仕組みは最初から作らないと決めた
  3. いつかやると言って1年以上の仕組みを、明日雑に出してみる

Q. タスク管理ツールが定着しないのはなぜ?

A. 最初から会社にぴったり合う仕組みを作ろうとする完璧主義が原因になりがちです。弊社ではTrello、Asana、Notionを試しましたが、いずれも定着しませんでした。雑な初版を1日で出して毎日1か所ずつ直す形に変え、3週間で実用になりました。

「便利そうなツールを入れたのに、3か月後には誰も触っていない」

これ、うちだけの話ではないと思います。経営者の集まりで聞くと、判で押したように同じ答えが返ってきます。私も Trello、Asana、Notion と試して、全部そうなりました。

原因はツールではありませんでした。私の頭の中の完璧主義です。この記事は、それを捨てた3週間の記録です。

「ちゃんと決めてから」が、いちばん時間を溶かす

まず、私がどう失敗してきたかを並べます。

試したもの結末
Trello(カンバンで案件管理)3か月後、誰も更新しなくなった
Asana(プロジェクト×タスクで階層管理)機能が多すぎて覚えきれず、メールに戻る
Notion(自由に設計できる)「綺麗に作る」が目的になり、運用前に力尽きた

理由はいつも同じでした。うちの会社にぴったり合う仕組みを、最初から作ろうとしていたのです。

比較資料を作るのに3週間から2か月。導入する頃には、作った本人がもう疲れている。初日から完成度を求めるので、1週間で違和感がひとつ出ると「やっぱりこれじゃない」と全部を否定する。これを3回繰り返しました。2年ほど溶かした計算になります。

ここでようやく気づきました。ぴったり合う仕組みは、頭で考えて作れるものではない。実際に使って、違和感を出して、直して、また使う。この回転の中でしか見えてきません。

つまり最初の1か月は、完成形を作る時期ではなく違和感を集めるための運用期間でした。ここを取り違えると、永遠に「もう少し設計を詰めてから」と先延ばしになります。

この話は、たぶんお宅にもあります

タスク管理の話をしていますが、同じ構造は別の場所にもあると思います。

よくある場面起きていること
「新しい勤怠システム、比較検討中です」が半年続く検討そのものが仕事になっている
業務マニュアルを「ちゃんとしたものを」と言い続けて1年完璧を目指した結果、1ページも無い
引き継ぎ資料を「後でまとめて作る」担当者が辞める日まで存在しない

どれも、雑でもいいから今日出すという選択肢が最初から消えている状態です。私がタスク管理でやっていたのは、まさにこれでした。

決めたのは、たった3つ

やり方を変えました。決めたのは3つだけです。

  1. 完璧な仕組みではなく、雑な初版を1日で出す
  2. 使いながら毎日1か所だけ直す
  3. 直せない仕組みは、最初から作らない

5月10日、朝9時から手をつけて、その日のうちに動かしました。タスクを1か所に集める箱、部署ごとと個人ごとの一覧、進捗の画面、毎朝7時の自動更新。

大事なのは、雑でいいと完全に決め切ったことです。色は適当(とりあえず赤・青・緑)。項目は担当者・期日・状態の3つだけ。文字の大きさも揃えない。壊れたら明日直す。とにかく今日から触れる状態にする、それだけを目指しました。

このとき下したいちばん大事な判断が、便利な機能をあえて入れなかったことです。

「表で直接書き換えたら、それが元データにも反映される」——便利ですが、作りませんでした。両方向に動く仕組みは、壊れたときに原因が分からなくなるからです。元データから表示するだけの一方通行にしました。雑な初版を作るときは、便利さは敵です。便利な機能は、後から足すほうが安全でした。

社員に配る前に、まず自分が1週間使った

これは意図的でした。作った本人が使えない仕組みは、絶対に広まらないと思っていたからです。

1週間使うと、違和感がぼろぼろ出てきました。色が派手すぎてどこを見ればいいか分からない。いつ頼まれたタスクなのかが記録されておらず、放置日数が分からない。親のタスクが「未着手」に見えるのに、子のタスクは動いている。入力漏れのセルが空白で目立たない。

どれも、頭で設計していたら絶対に気づかなかったものばかりです。使ってみて初めて、何が足りないかが分かりました。毎日1か所ずつ直しました。

2週目には、入力のハードルを下げることに集中しました。電話を切った直後に走り書きしたメモ——「既存のお客様から電話、新人研修の追加で Java 30名・5月末納期ほしい」——そのまま貼り付ければ登録できる形にしました。整った入力を人に求めないほうが、結局データが集まります。

止めた機能もありました

3週間のあいだに、作った自動処理7つのうち2つを止めました。

止める瞬間は、正直こわいです。「もしかしたら必要だったかも」と思う。ところが1週間経っても、誰からも「あれどうなったの」とは聞かれませんでした。読まれていない・使われていないが事実だったわけです。

増やす判断は記憶に残りますが、止める判断は不安を伴います。だからこそ、止められる経営者は強いのだと痛感しました。

完璧主義と、雑な初版

3週間を経て、こう整理しています。

完璧主義でいく雑な初版でいく
検討の期間1〜6か月0日(決めた日に作る)
最初のものが出るまで3〜12か月1日
違和感に気づくとき出来上がった後作りながら、その日に
直す手間大きい(作り直しになる)小さい(前提から直せる)
社員の受け取り方押し付けられた感じ自分たちで育てた感じ
続く確率低い(3か月で誰も触らない)高い(毎日直る安心感)

AI が来る前は、完璧主義しか選べなかったと思います。直すたびに外部の会社を呼ぶ必要があり、修正のコストが高すぎたからです。

いまは違います。AI と一緒なら、エンジニア出身ではない私でも、自分の手で直し続けられる。これが「雑な初版」を選べるようになった理由です。

3週間で分かったこと

いちばん大事なのは、直せる前提で作ることでした。

完璧な仕組みは半年かけても出来上がりません。でも雑な初版を1日で出して、毎日1か所直す回転が回れば、1週間で自分が使える状態になり、3週間で実用になり、3か月後には「無いと困る」ものになります。

そして順番も大事でした。まず経営者自身が1週間使い込む。社員に押し付けて「使え」と言うのは、信頼を削るだけです。自分が使い倒して「これ、けっこういいよ」と言えるようになってから配る。この順番だけで、定着の度合いがまるで違いました。

もし「いつか作ろう」と言って1年以上経っている仕組みがあるなら、それは雑な初版を1日で出す決断ができていないだけかもしれません。明日、何でもいいので雑なものをひとつ出してみることをおすすめします。


関連記事: なぜ私たちはローカル LLM を導入したのか / ローカル LLM × Salesforce で案件登録を 10 分 → 5 秒に / 「読まれない AI レポート」を作りかけて、止めた話

コラム一覧に戻る

研修のご相談、教材制作、生成AIの導入支援など、まずはお気軽にお問い合わせください。